「リタイアだけは避けたい…」
アイアンマンのDNF率は約30%。3人に1人はゴールできません。
でも、10の鉄則を守れば、完走率は劇的に上がります。16時間完走者が実践した方法を公開します。
【読者ターゲット】
この記事は、こんな方におすすめです:
- ✅ アイアンマン初挑戦で、DNFが不安な方
- ✅ 制限時間ギリギリになりそうな方
- ✅ 過去にDNFした経験がある方
- ✅ 確実に完走したい方
DNFの現実:なぜ3人に1人はゴールできないのか
アイアンマン世界選手権コナの完走率は約95%ですが、一般のアイアンマンレースでは完走率は70%前後です。
つまり、30%の人がDNFします。
DNFの主な理由(データから見る)
- スイム途中棄権: 約5%(パニック、低体温症、体力切れ)
- バイク途中棄権: 約15%(制限時間、機材トラブル、体力切れ)
- ラン途中棄権: 約10%(制限時間、足の故障、ハンガーノック)
実は、DNFの理由の大半は「準備不足」と「判断ミス」です。
フィジカルの問題ではなく、知識と戦略の問題なのです。
鉄則①:制限時間から逆算したペース設計をする
「なんとなく走る」では、高確率で制限時間に引っかかります。
制限時間17時間の内訳(目安)
| 種目 | 制限時間 | 必要ペース | 安全マージン |
| スイム | 2時間20分 | 100m/3分40秒 | 2時間以内目標 |
| T1 | – | – | 15分以内 |
| バイク | 10時間30分 | 平均17km/h | 9時間以内目標 |
| T2 | – | – | 10分以内 |
| ラン | 6時間30分 | 9:10/km | 6時間以内目標 |
私が実践した「安全マージン」の考え方:
- スイム:制限より20分早く上がる(波や混雑対応)
- バイク:制限より1.5時間早く終える(パンク・トイレ対応)
- ラン:制限より30分早く終える(歩行・エイド対応)
実践方法
練習時から、「このペースで本番を走る」と決めておく。
- スイムは「100m/3分以内」で泳ぐ練習
- バイクは「平均20km/h」で走る練習(エアロポジション維持)
- ランは「8分/km」で走る練習(後半崩れても9分/kmまで)
鉄則②:スイムでパニックにならない準備をする
スイムDNFの最大の原因はパニックです。(詳細:オープンウォータースイムのパニック対策)
パニックを防ぐ3つの準備
1. オープンウォーター練習を最低3回はする
プールと海は別物です。
- 波、塩水、視界不良、集団泳
- これらに慣れていないと、本番でパニックになります
最低でも3回、できれば5回以上はOWS練習をしましょう。
2. ウェットスーツを「信頼」する
ウェットスーツを着ていれば、絶対に沈みません。
練習で実験してみてください:
- ウェットスーツを着て、海でぷかぷか浮く
- 力を抜いて、仰向けで浮く
- 呼吸を整えて、また泳ぎ始める
この「浮いて休める」という感覚を体に染み込ませておくことが重要です。
3. スタート位置を「後方・端」にする
前方スタートは上級者向けです。
初挑戦者は、後方・端(ブイ側)からスタートしましょう。
- 混雑を避けられる
- 蹴られるリスクが減る
- マイペースで泳げる
タイムより、まずは「完泳」が目標です。
鉄則③:バイクのペース配分を守る
バイクDNFの最大の原因は前半飛ばしすぎです。
「気持ちいい」= 飛ばしすぎ
スイムを終えた直後、体が軽く感じます。
「よし、ガンガン行こう!」→ これがDNFへの道です。
前半の正しいペース
最初の40kmは、練習より遅く走る。
- 心拍数を「最大心拍の70%以下」に抑える
- 「物足りない」と感じるくらいが正解
- 周りに抜かれても気にしない
中盤から徐々にペースアップ
80km地点から、徐々にペースを上げます。
- 心拍数を「最大心拍の75%」まで上げる
- でも、「頑張ってる」感覚にはならない程度
後半は「ランのために脚を残す」
120km以降は、ランのために脚を温存します。
- 「まだ走れる」状態でバイクを終える
- これが、ランで崩れないコツ
鉄則④:補給を「計画通り」に実行する
補給ミスは、DNFに直結します。
私の補給失敗体験
初アイアンマンで、私は補給で失敗しました:
- バイク30km地点で、固形食(おにぎり)を食べた
- 50km地点で、胃が痛くなった
- その後、何も食べられなくなった
- ラン10kmでハンガーノック → DNF寸前
正しい補給戦略
スイム中(0〜2時間)
- 何も食べない
- 水分補給のみ(T1直前に給水)
バイク前半(2〜5時間)
- ジェル中心(30分に1本)
- 固形食は避ける
- 水分は15分に1回(100ml)
バイク後半(5〜9時間)
- ジェル+バナナ(胃が慣れてきたら固形食追加)
- 水分は変わらず15分に1回
- 塩分補給(塩飴、梅干し)
ラン前半(9〜12時間)
- ジェル+コーラ
- エイドステーションで必ず補給
- 固形食は避ける
ラン後半(12〜16時間)
- 何でも食べる
- エイドの食べ物すべて試す
- 「食べられるものを食べる」
鉄則⑤:機材トラブルに備える
機材トラブルでDNFするのは、もったいないです。(関連:バイクの機材トラブル対処法)
本番前に練習すべき3つのスキル
1. パンク修理(必須)
バイク180kmで、パンクは「起こるもの」と考えましょう。
練習で、5分以内に修理できるようになってください。
- チューブ交換の練習(最低3回)
- CO2ボンベの使い方を確認
- 予備チューブ2本+CO2ボンベ2本を携帯
2. チェーン外れ対処
チェーンが外れた時、焦らず戻せますか?
練習で1回は経験しておきましょう。
3. 変速不良の応急処置
変速がおかしくなったら、1枚のギアで走り切る覚悟を。
- フロントは「アウター固定」or「インナー固定」
- リアは「真ん中固定」
完璧に直せなくても、走り続けられればOKです。
鉄則⑥:ランで「歩かない」工夫をする
ランで歩き始めると、再び走るのが困難になります。(詳細:ランパートで歩かないための3つの鉄則)
歩かないための3つの鉄則
1. 最初から「歩くペース」で走る
ラン最初の5kmは、歩くより少し速い程度で走りましょう。
- 「これ、歩いた方が速いんじゃ?」と感じるくらいが正解
- 周りのランナーに抜かれても気にしない
2. エイドステーションで必ず立ち止まる
エイドでは、必ず一度立ち止まって補給しましょう。
- 水、コーラ、バナナ、塩
- 30秒〜1分立ち止まってOK
- 走りながら食べない
これが「歩かずに完走する」コツです。
3. 30km以降は「1kmごと」に目標を立てる
30km以降は、メンタルが崩れやすい区間です。
「あと12kmもある…」ではなく、「次のエイドまで1km」と考えましょう。
- 1kmごとに小さなゴールを設定
- 「次のエイドまで走れたら、立ち止まって休める」
鉄則⑦:制限時間を「見える化」する
制限時間への不安は、情報不足から来ます。
GPS時計で「残り時間」を常に確認
GPS時計があれば、「今、制限時間より何分前か」を把握できます。
- スイム:2時間以内目標 → GPS時計で経過時間確認
- バイク:各チェックポイントの制限時間を把握
- ラン:「1km/8分」ペースを維持
制限時間を「敵」にしない
制限時間は「敵」ではなく、「ペースメーカー」です。
- 「あと何分余裕がある」と考える
- 「間に合わない」ではなく「余裕がある」と考える
メンタルが変わると、体も楽になります。
鉄則⑧:メンタル崩壊を防ぐ「言葉」を用意する
レース中、何度も「やめたい」と思います。
私を救った3つの言葉
1. 「ここまで来た。あとはゴールするだけ。」
バイク100km地点で、足が限界でした。
でも、この言葉を唱えたら、不思議と体が動きました。
2. 「DNFしたら、また1年後。今日終わらせよう。」
ラン30km地点で、「リタイアしたい」と思いました。
でも、「また1年練習する?」と自問したら、答えは「NO」でした。
3. 「完走者の称号は、一生もの。」
ゴール後、メダルをもらった瞬間、すべての苦しみが報われました。
「アイアンマン・フィニッシャー」という称号は、一生消えません。
自分の「お守りの言葉」を用意しよう
本番前に、「苦しい時に唱える言葉」を決めておきましょう。
- 家族の名前
- 応援してくれた人の顔
- 「ここまで来たら、絶対ゴールする」
言葉は、最強の武器です。
鉄則⑨:エイドステーションを「休憩所」として使う
エイドステーションは、単なる補給所ではありません。
エイドでやるべきこと
1. 必ず立ち止まる(30秒〜1分)
走りながら補給するのは、上級者向けです。
初挑戦者は、必ず立ち止まって補給しましょう。
- 水を飲む
- コーラを飲む
- バナナを食べる
- 塩分補給
- 深呼吸
2. ボランティアに「ありがとう」を言う
ボランティアの笑顔は、メンタルを回復させます。
「ありがとう!」「頑張ります!」と声をかけると、自分も元気になります。
3. 次のエイドまでの「1km」を目標にする
「次のエイドまで走れば、また休める」
これが、歩かずに完走するコツです。
鉄則⑩:DNFは「恥」ではない。でも、準備不足は後悔する。
最後に、大切なことを伝えます。
DNFは恥ずかしいことではない
体調不良、天候不良、機材トラブル。
どうしようもない理由でDNFすることもあります。
それは恥ずかしいことではありません。
でも、「準備不足」でのDNFは後悔する
「もっと練習しておけば…」
「ペース配分を考えておけば…」
「補給計画を立てておけば…」
こう思うDNFは、とても悔しいです。
完走するために、準備をしよう
この記事で紹介した10の鉄則は、すべて準備でカバーできることです。
- ペース設計
- OWS練習
- 補給計画
- 機材トラブル対策
- メンタルトレーニング
準備さえすれば、完走率は劇的に上がります。
? 完走への道を選ぼう
あなたに合った準備ツールを選んでください
まとめ:DNFを避ける10の鉄則
もう一度、10の鉄則をおさらいしましょう。
- ✅ ペース設計:制限時間から逆算して走る
- ✅ スイム準備:パニックにならない準備をする
- ✅ バイクペース:前半飛ばしすぎない
- ✅ 補給計画:「何を」「いつ」食べるか決めておく
- ✅ 機材トラブル:パンク修理を練習する
- ✅ ラン戦略:歩かない工夫をする
- ✅ 制限時間管理:GPS時計で残り時間を確認
- ✅ メンタル:お守りの言葉を用意する
- ✅ エイド活用:休憩所として使う
- ✅ 準備の重要性:準備不足は後悔する
この10の鉄則を守れば、完走率は劇的に上がります。
あなたのアイアンマン完走を、心から応援しています!
次に読むべき記事
完走に向けて、さらに準備を進めましょう:
- ? レース当日のオペレーション完全ガイド – 起床から完走までの16時間
- ? 補給で失敗した話 – アイアンマンで「何を」「いつ」食べるべきか
- ? ペース設計の科学 – 16時間完走のための逆算式
- ? 初挑戦で詰むトップ10 – アイアンマン完走を阻む本当の壁

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