バイク80km地点で胃が止まった。
2026年、ケアンズ。最初の226km。スイムは予定通り。バイクも前半は順調だった。
問題は、向かい風の区間で補給を1回飛ばしたところから始まった。「次のエイドでまとめて摂ろう」と思った。それが間違いだった。
まとめて摂ったジェルとスポーツドリンクが胃に溜まり、消化が追いつかなくなった。80km地点で完全に胃が止まり、その後100kmをほぼ水だけで走った。
原因は明確だった。「何を・いつ・どれだけ」を事前に数値化していなかった。
この記事では、体重と目標タイムと気温から、226kmレースの補給計画を数値で組み立てる方法を解説する。
補給の基本公式
1. 消費カロリーの推定
- バイク: 体重(kg) × 8kcal × 時間(h)
- ラン: 体重(kg) × 10kcal × 時間(h)
例えば体重70kg、バイク7時間、ラン5.5時間の場合。
- バイク消費: 70 × 8 × 7 = 3,920kcal
- ラン消費: 70 × 10 × 5.5 = 3,850kcal
- 合計: 7,770kcal
2. 必要摂取カロリー
消費カロリーの全てを摂取する必要はない。体内のグリコーゲンと脂肪が一部をカバーする。
目安は消費カロリーの30〜40%を口から摂取する。
7,770kcal × 35% = 約2,720kcal
3. 水分と塩分
気温によって大きく変わる。
| 気温 | 水分(ml/h) | 塩分(mg/h) |
|---|---|---|
| 15℃未満 | 500〜600 | 500 |
| 15〜25℃ | 600〜800 | 700 |
| 25℃以上 | 800〜1000 | 900 |
20分刻みの補給スケジュール
総量が決まったら、次はタイミングに落とし込む。ここが最も重要。
「1時間に○kcal」ではなく、20分刻みで何を摂るかを決める。理由は以下の通り。
- 20分は胃が1回のジェルを消化する最小単位
- 60分刻みだと「さっき摂ったっけ?」の判断ミスが起きやすい
- エイドステーション間隔が約20kmなので、時間に換算すると約25〜35分
バイクパートの補給スケジュール(例)
体重70kg、バイク7時間、気温28℃の場合。
| 経過時間 | 補給内容 | カロリー | 水分 |
|---|---|---|---|
| 0:00-0:20 | ジェル1本 | 100kcal | 200ml |
| 0:20-0:40 | おにぎり1個 + 塩タブ | 150kcal | 200ml |
| 0:40-1:00 | ジェル1本 | 100kcal | 200ml |
| 1:00-1:20 | バナナ + 塩タブ | 100kcal | 300ml |
| 1:20-1:40 | ジェル1本 | 100kcal | 200ml |
| 1:40-2:00 | おにぎり + 塩タブ | 150kcal | 300ml |
このパターンを7時間繰り返す。固形食はバイク前半(0〜4時間)で。後半はジェルと液体のみに切り替える。
AIを使った補給計画の最適化
ここからがこの記事の本題。
上の計算は電卓でもできる。でも問題は変数が多すぎること。
- 体重が1kg変わると、必要カロリーが100kcal以上変わる
- 気温が5度変わると、水分量が20%変わる
- 目標タイムが1時間変わると、摂取ペースが全て変わる
ChatGPTやClaudeに以下のプロンプトを投げると、あなた専用の補給計画を出してくれる。
226kmトライアスロンの補給計画を作成してください。
条件:
- 体重: ○○kg
- 目標完走タイム: ○○時間
- 目標バイクタイム: ○○時間
- 目標ランタイム: ○○時間
- 当日の予想気温: ○○℃
出力形式:
1. 必要カロリー(バイク/ラン別)
2. 必要水分量
3. 必要塩分量
4. 20分刻みの補給スケジュール(バイク/ラン別)
5. 各補給ポイントでの具体的な食品・量
AIが手計算より優れている3つの理由
1. 変数の同時最適化
人間が電卓で計算すると、カロリーと水分を別々に計算しがち。AIは体重・気温・時間・消費率を同時に考慮して、矛盾のない計画を出す。
2. 条件変更への即時対応
レース前日に気温予報が30℃から22℃に変わった。AIに「気温22℃に変更」と伝えれば、30秒で新しい計画が出る。手計算だと30分かかる。
3. 個別の制約への対応
「乳製品が摂れない」「ジェルは○○ブランドしか使わない」「カフェイン入りは後半だけ」。こういった個別の条件をプロンプトに追加すれば、それに合わせた計画が出る。
自分の失敗をAIで再計算してみた
バイク80km地点で胃が止まった時、何が起きていたかをAIで再計算した。
- 補給を1回(20分分)飛ばした → 100kcal不足
- 次のエイドで2回分をまとめて摂取 → 胃に200kcal分が一度に入った
- 胃の処理能力は1回あたり100〜120kcal → オーバーフローして消化停止
AIのシミュレーションによると、補給を飛ばした後の正解は「次の2回に50kcalずつ分散」だった。まとめて摂るのではなく、少量を短い間隔で入れ直す。
まとめ
補給の失敗は、才能や体力の問題ではない。計算の問題。
「だいたいこのくらい」で17時間を走り切れるほど、226kmは甘くない。20分刻みで、何を、いつ、どれだけ。この設計図を持っているかどうかで、後半の景色がまるで変わる。
AIを使えば、補給計画の作成は5分で終わる。条件が変わっても30秒で更新できる。使わない理由がない。
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