トレーニングレディネスが低い朝にやること|6要素を実データで分解

Data & Tech

朝、時計に目をやるとトレーニングレディネスが28。その日は、初めてのSST90分を予定していた日でした。

結論から言うと、私はこの週のSSTを延期しました。数字に従ったというより、数字が「脚の重さ」にちゃんと説明をつけてくれた、という方が近い感覚です。

トレーニングレディネスが低い朝に知りたいのは、「なぜ低いのか」と「で、今日どうするか」の2つだと思います。この記事では、スコアを構成する6つの要素の見方、低い原因の特定方法、スコア帯別の練習判断を、実際のデータを使って解説します。

トレーニングレディネスは6つの要素で決まる

トレーニングレディネスは1〜100のスコアで表示されますが、中身は次の6要素の合成です。

  • 睡眠スコア: 前夜どれだけ眠れたか
  • リカバリータイム: 直近のワークアウトからの回復に必要な残り時間
  • HRVステータス: 心拍変動が自分のベースライン範囲にあるか
  • 急性負荷: ここ数日のトレーニング負荷の積み上がり
  • 睡眠履歴: ここ数日間の睡眠の質の傾向
  • ストレス履歴: ここ数日間のストレスレベルの傾向

ポイントは、6要素が「今日の状態」を見るものと「ここ数日〜数週間の積み重ね」を見るものに分かれることです。

  • 今日の要素: 睡眠スコア、リカバリータイム、急性負荷
  • 履歴の要素: HRVステータス、睡眠履歴、ストレス履歴

一晩ぐっすり寝たのにスコアが戻らないことがあるのは、履歴系の要素が尾を引いているからです。逆に言うと、レディネスは「今日の疲れ」だけでなく「ここ2週間の生活」を映す鏡でもあります。

低い原因を特定する — どの要素が足を引っ張っているか

ウォッチのレディネス画面を下にスクロールするか、Garmin Connectアプリでレディネスの詳細を開くと、要素ごとの状態とコメントが表示されます。

見るべきは合計点ではなく、一番沈んでいる要素です。要素によって、打てる手がまったく違うからです。

沈んでいる要素打てる手戻るまでの目安
睡眠スコア今夜の就寝を早める。可能なら昼寝翌朝には戻せる
急性負荷今日の強度を抑える数日
リカバリータイム時間の経過のみ表示された時間どおり
HRVステータス焦らない。強度を上げない数日〜数週間
睡眠履歴・ストレス履歴生活リズムの立て直し1週間単位

「低い」という結果は同じでも、前夜の寝不足による低さと、HRVのベースラインが沈んでいる低さでは、深刻度がまったく違います。前者は今夜寝れば済む話ですが、後者は身体が「ここ最近の負荷、処理しきれてません」と言っている状態です。

【実測】SST延期を決めた週のレディネスを分解する

まず、この2週間の時系列です。

日付練習翌朝のレディネス
8/8(土)実走133km・獲得1,577m(平均心拍135)
8/9(日)実走135.8km・獲得1,859m(平均心拍122)3
8/10(月)休養28
8/11(火)SST90分の予定 → 延期して屋外53kmを流す
8/12〜14(水〜金)休養
8/15(土)実走153km・平均心拍105のZ2ロング52
8/16〜18(日〜火)休養
8/19(水)朝のレディネス88 → 同日夜にSST90分を実施

土日で269km・獲得3,436mを積んだ翌朝が3。私のレディネス史上最低値です。この「3」と、153kmを走った翌朝の「52」の内訳を並べると、スコアの性質がよく分かります。

要素8/10朝(スコア3)8/16朝(スコア52)
睡眠スコア記録なし(0%扱い)78点(67%)
リカバリータイム残り51.8時間(POOR)残り0時間
急性負荷402187
HRVステータスGOOD(週平均37ms)GOOD(週平均36ms)
ストレス履歴GOOD(84%)MODERATE(44%)
睡眠履歴MODERATE(54%)MODERATE(52%)

8/10朝の「3」を沈めていたのは、残り51.8時間と表示されたリカバリータイムと、記録されていなかった睡眠のダブルパンチでした。連続ロングで急性負荷は402まで積み上がっていた一方、HRVステータスは終始GOODのまま。つまりこれは「身体が壊れかけている低さ」ではなく、「単純に直近がキツかった低さ」です。同じ低スコアでも、HRVが沈んでいたら話はもっと深刻でした。前の章で書いた「どの要素が沈んでいるかで深刻度が違う」というのは、こういうことです。

なお、睡眠が記録されていないと睡眠要素は0%として扱われ、スコアは実態より大きく沈みます。「レディネスが異常に低い」と感じたら、まず前夜の睡眠がちゃんと計測できているかを確認してください。それだけで謎が解けることがあります。

翌8/11の朝は28まで戻っていましたが、睡眠スコアは59点(POOR)、リカバリータイムは残り27.7時間。この日がSST90分の予定日でした。「内容を落とさず時間を短くする」ことも考えましたが、初めて取り組むセッションを中途半端なコンディションでやりたくなかったので、延期して屋外53kmを流すだけにしました。

面白いのは8/16朝の52です。前日に153kmを走った翌朝なのに、リカバリータイムは残り0時間。平均心拍105のZ2で走り切ったからです。レディネスを壊すのは距離ではなく、強度と積み上がりだということが、この2つの朝の対比にそのまま出ています。むしろこの朝に足を引っ張っていたのはストレス履歴(44%)で、練習ではなく生活側の問題でした。

そして休養を挟んだ8/19の朝、急性負荷が62まで抜けてレディネスは88。この日の夜に、延期していたSST90分を実施しました。

スコア帯別・その日の練習判断チャート

ガーミンの区分は5段階です。1〜24が「悪い」、25〜49が「低い」、50〜74が「標準」、75〜94が「高い」、95〜100が「最高」。

私は次のように運用しています。

  • 75以上: 高強度の日。SSTやインターバルはここに当てる
  • 50〜74: 予定どおり実施。ただし高強度を予定していた場合は、内容は落とさず時間を短くする
  • 25〜49: 強度を落とす。Z2の60分以下か、フォーム練習に切り替え
  • 24以下: 休む。ここで粘って得をしたことがない

大事なのは、「低い=休め」と短絡しないことです。トレーニングを積んでいる時期は、低めのスコアが続くこと自体は普通にあります。低い日に高強度を置かない、というだけで、週全体の練習量は守れます。

むしろレディネスは「今日サボっていいかを判定する点数」ではなく、「週の中で高強度をどこに置くかを決める道具」だと考えると、急に使いやすくなります。

毎朝のチェックを仕組みにする

レディネスは、たまに見るだけだと「今日は低いのか、ふーん」で終わります。毎朝同じタイミングで、合計点ではなく内訳まで見る。これを続けると、自分のスコアが崩れるときのパターンが読めるようになってきます。私の場合は、週末に実走を2日続けた後と、睡眠の計測が抜けてしまった日です。

私は最近、この朝チェックをAIに任せる仕組みを作りました。Garminのデータを自宅のサーバー経由でAIアシスタントにつないで、毎朝「今日の内訳はこうなので、練習はこうしましょう」という対話で1日を始めています。この構築方法はそれだけで1本の記事になるので、別記事で書く予定です。

(内部リンク: 公開後にNo.33「ガーミン Claude 連携」へ)

まとめ

トレーニングレディネスが低い朝にやることは3つです。

  1. 内訳を開いて、一番沈んでいる要素を確認する
  2. その要素に応じた手を打つ(打てない要素なら、受け入れて予定を組み替える)
  3. 高強度の予定日を動かす

スコアは自分を裁く点数ではなく、高強度を置く場所を決めるための道具です。低い日をどう扱うかで、数週間後の調子が変わってきます。

(内部リンク: 佐渡バイク準備記事 / 公開後: No.5 HRVステータス、No.7 睡眠スコア)

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