StravaのFTP 258Wを信じなかった理由

Data & Tech

同じ体に対して、三つのプラットフォームが三つの数字を出している。Intervals.icuは一時期240Wと推定した。Stravaは258Wと表示する。ランプテストの実測は229W。差は最大29W。FTPの29Wは、トレーニングの中身が別物になる差だ。

Intervals.icuの240Wについては以前書いた。屋外ライドの5分セグメントに含まれた瞬間的な高出力から、モデルが上振れした推定を出す。あれは仕組みを理解すれば納得できる種類の誤りだった。今回のStravaの258Wは、実測229Wを確定させた後もなお表示され続けている点で、性質が違う。

258Wはどこから来るのか

Stravaの推定FTPは、過去のライドデータをパワーカーブのモデルに当てて算出される。短時間の高出力が多いデータ、特に下り基調やグループライドでの瞬間値が混ざったデータは、推定を実力より上に押し上げる。トレーナーの管理されたワークアウトと、屋外の雑多なデータが同じ土俵で評価されると、雑多なほうが「良い数字」を作りやすい。

正直に書いておくと、258Wという表示を最初に見たとき、少しの間そのまま眺めていた。実測229Wを出した直後だったから、29Wの上振れは「伸びしろ」に見えなくもなかった。数字を疑うより信じるほうが気分がいい。この気分の良さが、推定値のいちばん危ないところだと思う。

間違った基準で組むSSTはSSTではない

実害は具体的だ。SSTはFTPの88〜94%で設定する。229W基準なら202〜215W。258W基準なら227〜243W。後者は私にとってSSTではなく、閾値走かそれ以上になる。60分続かない強度を「持続系トレーニング」のつもりで積むと、狙った適応と違うものが返ってくる。しかも表面上は「きついが頑張れている」ように見えるから、ずれに気づきにくい。

運用のルールは単純にした。実測だけを基準にする。推定は参考値として眺めるが、ワークアウトの設定には一切使わない。8月4日にランプテストを再実施する。そこで実測が258Wに近づいていたら、そのときはStravaのモデルに謝る。いまのところ、その予定はない。

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