226kmのレースは、速い人でも8時間。制限時間ギリギリだと17時間かかる。
この17時間、GPS時計は止まらずに動き続けなければならない。ペース、心拍、パワー、距離、経過時間。レース中に頼りにするデータの全てがこの小さな時計から出てくる。
だから聞きたい。あなたのGPS時計、17時間持つか確認したことはあるか。
公称値で「バッテリー最大○○時間」と書いてあっても、実際のレースでは条件が違う。GPS精度を上げればバッテリーは減る。心拍計をONにすれば減る。パワーメーターと接続すれば減る。画面を頻繁に確認すれば減る。
この記事では、Garmin・Suunto・COROSの主要3ブランドについて、226kmレースを想定した条件でのバッテリー持続時間を整理した。
比較対象のモデル
今回取り上げるのは、2025〜2026年時点で226kmレースに使われている代表的なモデル。
Garmin
- Forerunner 965(GPS+マルチバンド、光学心拍、音楽再生対応)
- Enduro 3(ウルトラ向け、ソーラー充電対応)
Suunto
- Suunto Race(AMOLEDディスプレイ、マルチバンドGPS)
- Suunto Vertical(ソーラー充電対応、オフラインマップ)
COROS
- COROS PACE 3(軽量・コスパ重視)
- COROS VERTIX 2S(ウルトラ向け、最大140時間GPS)
バッテリー持続時間の比較
ここが最も重要な部分。公称値と、226kmレース想定の実測値を並べる。
226km想定の条件は以下で統一した。
- GPSモード: 全GNSS(高精度)
- 心拍センサー: ON(光学式)
- 外部センサー接続: パワーメーター+スピードセンサー(ANT+/Bluetooth)
- 画面表示: 常時ON
- 気温: 25〜30℃(バッテリーに不利な条件)
| モデル | 公称値(GPSモード) | 226km想定 | 17時間持つか |
|---|---|---|---|
| Forerunner 965 | 最大31時間 | 約18〜22時間 | ✅ ギリギリ安全圏 |
| Enduro 3 | 最大68時間 | 約40〜50時間 | ✅ 余裕 |
| Suunto Race | 最大40時間 | 約24〜30時間 | ✅ 安全圏 |
| Suunto Vertical | 最大60時間 | 約35〜45時間 | ✅ 余裕 |
| COROS PACE 3 | 最大38時間 | 約22〜28時間 | ✅ 安全圏 |
| COROS VERTIX 2S | 最大140時間 | 約70〜90時間 | ✅ 余裕すぎる |
注意すべきモデル
上の表では全モデル17時間持つように見える。だが落とし穴がある。
Forerunner 965はギリギリ。公称31時間だが、226km想定では18〜22時間。16時間台で完走する人なら問題ないが、17時間ギリギリの場合はバッテリーセーブモードの設定が必須。
具体的には以下の設定でバッテリーを延命できる。
- GPSモードを「全GNSS」から「GPS + GLONASS」に変更(精度は若干落ちるが十分)
- バックライトの自動OFF時間を短縮(15秒→5秒)
- 通知をOFF
- SpO2センサーをOFF
- 画面更新頻度を「毎秒」から「スマート」に変更
これだけで2〜4時間の延命が見込める。
マルチスポーツモードの罠
226kmレースではマルチスポーツモード(スイム→バイク→ランを1つのアクティビティとして記録)を使う。
このモードは通常のGPSモードよりバッテリー消費が大きい場合がある。理由はトランジションでの自動切り替え処理と、種目ごとのセンサー再接続が発生するため。
レース前に必ずマルチスポーツモードで3〜4時間の模擬テストを行い、バッテリーの減り具合を確認しておくべき。
ソーラー充電は実用的か
Enduro 3とSuunto Verticalにはソーラー充電機能がある。
結論から言うと、226kmレースではソーラー充電の恩恵はほぼない。
- スイム中は水中なのでソーラー充電できない
- バイク中は手首が下を向いているので日光が当たりにくい
- ラン中は腕振りで断続的にしか日光が当たらない
- 曇天や夕方以降は発電量がほぼゼロ
ソーラーで延びるのは、晴天のバイクパートで最大1〜2時間程度。「ソーラーがあるから安心」とは考えない方がいい。
コスパで選ぶならCOROS PACE 3
6モデルの中で最も安いのがCOROS PACE 3。価格はForerunner 965の約半分。
それでいてバッテリーは226km想定で22〜28時間。17時間レースには十分。重量も39gで最軽量クラス。
トライアスロン向けのマルチスポーツモードも搭載。パワーメーターとの接続もANT+/Bluetoothの両方に対応。
「初めての226kmで、GPS時計にそこまでお金をかけたくない」という人にはCOROS PACE 3が最も合理的な選択肢。
余裕を求めるならEnduro 3 or VERTIX 2S
「バッテリーの心配を完全にゼロにしたい」なら、Garmin Enduro 3かCOROS VERTIX 2S。どちらも226km想定で40時間以上持つ。
レース中に「あとバッテリー何%だろう」と一度も気にしなくていい。これはメンタル面で大きい。
自分がバイク80km地点で胃が止まった時、時計のバッテリーが50%を切っていたら、間違いなくもっとパニックになっていた。「バッテリーは余裕がある」という安心感は、想像以上に大きい。
レース前の設定チェックリスト
GPS時計を226kmレースで使う前に、以下を確認する。
- バッテリー100%充電 — レース前日の就寝前に充電開始
- GPSモードの確認 — 全GNSS or GPS+GLONASS。精度とバッテリーのバランス
- マルチスポーツモードの設定 — スイム→バイク→ランの自動切り替え設定済みか
- 外部センサーのペアリング確認 — パワーメーター、心拍ベルト、スピードセンサー
- 画面表示の設定 — レース中に見たいデータ項目を事前に決める
- バッテリーセーブの設定 — 残り30%で自動的にセーブモードに入る設定
- 通知OFF — スマホ通知は全てOFF
- 模擬テスト — マルチスポーツモードで3時間以上のテスト走行
まとめ
226kmレースでGPS時計を選ぶ基準はシンプル。公称バッテリーから30〜40%引いて、17時間以上持つかどうか。
予算重視ならCOROS PACE 3。安心重視ならEnduro 3 or VERTIX 2S。Forerunner 965はバッテリーセーブ設定が前提。
どのモデルを選んでも、レース前の設定と模擬テストが最も重要。本番で「電池が切れた」は、準備不足で起きるトラブルの中で最も悔しいもの。
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