226km当日の補給タイムライン全公開|何を食べて16時間で完走したか

Race Day

📋 この記事で分かること

🎯 結論:226kmを16時間09分で完走したレースの補給を時系列で全公開。うまくいった点と、バイク後半で失速した原因まで包み隠さず整理します

👤 対象者:ロングディスタンスの補給計画を、実例ベースで具体的に知りたいアスリート

読了時間:約16分

🗓 使い方:自分のレース補給計画を組む前の参考例として

補給計画の記事はたくさんあります。ただ、「実際のレースで、何時に何を食べて、結果どうだったか」を時系列で全部見せている記事は多くありません。

この記事では、僕がオーストラリア・ケアンズの226kmトライアスロンを16時間09分で完走したときの補給を、時系列で公開します。うまくいった部分だけでなく、バイク後半で明確に失速した原因まで、正直に書きます。きれいな成功談より、実際に起きたことのほうが役に立つはずです。

📊 レース結果(ケアンズ/フルディスタンス 226km)

スイム 3.9km:1:35:02 / T1:0:19:50 / バイク 180km:7:49:10 / T2:0:20:38 / ラン 42.2km:6:04:37
総合タイム:16:09:17(フィニッシャー)

※以下の時刻は、レースの経過時間から逆算した概算です。実際のスタート時刻や各ポイント通過時刻とは多少前後します。

レース前夜〜スタート前の補給

補給は前日から始まっています。前夜は消化に良い炭水化物中心の食事で、グリコーゲンを蓄えておきます。脂質や食物繊維の多いものは胃腸に残りやすいので避けました。

当日の朝は、スタートの3時間前に主食をしっかり摂りました。そしてスタート直前に入れたのは、井村屋のスポーツようかんを1本と、アミノバイタルのスティックを1本。この2つだけです。

今振り返ると、ここに最初の落とし穴がありました。スポーツようかんとアミノバイタル1本ずつは、補給としては決して多くありません。スイム中は一切補給できないことを考えると、スタート前にもう少し糖質を厚く入れておくべきだった。このときは「重くしたくない」という気持ちが勝っていましたが、結果的にバイク後半まで響く判断になります。

スイム〜T1:補給できない90分でエネルギーを使う

スイムは3.9kmを1時間35分。この間、当然ながら補給は一切できません。スタート前に入れたエネルギーだけで、90分以上泳ぎ続けることになります。

泳いでいる間は気づきにくいのですが、ここでのエネルギー消費は決して小さくありません。むしろ「補給できない区間」だからこそ、知らないうちにエネルギー残量が削られていきます。

このスイムでの消耗が、のちのちバイク後半で効いてくることに、このときの僕はまだ気づいていませんでした。しかもスタート前の補給はようかんとアミノバイタル1本ずつと軽め。T1で19分かけて落ち着いてバイクへ移行しましたが、補給という観点ではすでにマイナスからのスタートだったのです。

バイク7時間49分:ジェル中心、でもタイミングはバラバラだった

バイクは180kmを7時間49分。3種目で最も長く、最も補給しやすい区間です。ここでの補給がレース全体を左右します。

僕の補給は、ジェル中心でした。固形物は胃に重いので、吸収の速いジェルを主軸に、電解質ドリンクを併用する作戦です。使ったのは、ケアンズのIRONMANで公式に提供されるMaurten(マウルテン)のジェル。エイドで補充できるので、これを軸に据えました。バイクだけでおよそ8本。加えて、プレシジョン(Precision Fuel & Hydration)のハチミツのような濃いジェルと、電解質ドリンクを1Lほど。作戦そのものは悪くありませんでした。

問題は、タイミングです。正直に書くと、補給は「気づいたときに取る」スタイルでした。タイマーもサイコンの周期通知も設定しておらず、その時の感覚に任せていた。集中して踏んでいると、気づけば40分、50分と補給が空く。そして思い出したように1本入れる。8本という総量は悪くないのに、間隔がバラバラで、供給が一定しませんでした。

前半はそれでも何とかなりました。脚も回り、ペースも悪くない。グラフで見ても、序盤から中盤にかけては比較的安定して速度を維持できています。「いけるな」と思っていました。

バイク後半の失速:3つの要因が重なった区間

異変はバイクの後半、150kmを過ぎたあたりから出ました。脚が急に動かなくなったのです。グラフでも、終盤にかけて明確に速度が落ちているのが分かります。

原因は一つではありませんでした。振り返ると、3つの要因が重なっていました。

ひとつは、脚の痛みです。この日はいつもと違うシューズを使っていて、それが原因で脚が攣りはじめた。物理的に踏めなくなっていきました。

もうひとつは、スイムからの消耗の蓄積。スイムで削られたエネルギーが、補給が後手に回っていたことで取り戻しきれていなかった。バイク前半で「いけるな」と感じていたのは、貯金を取り崩していただけだったのかもしれません。

そして、補給タイミングのばらつき。間隔がバラバラだったことで、エネルギー供給が一定せず、後半に響いた。もしタイマーで機械的に補給できていれば、後半の落ち込みはもう少しなだらかにできたはずです。

このときの失速は、いわゆるハンガーノックの一歩手前のような状態とは少し違い、脚の問題とエネルギーの問題が同時に来た複合的なものでした。ただ、補給がきちんと回っていれば、少なくともエネルギー面では後半をもっと支えられたはずだと、今でも思います。補給タイミングの設計については補給タイミング完全ガイドで詳しく整理しています。

ラン6時間:止まらないことだけを考えた

T2で20分かけて立て直し、ランへ。フルマラソンの距離を6時間04分。グラフを見ると、ランはスタートから終始フラットで、決して速くないペースを淡々と維持しています。

ラン後半は胃が固形物を受け付けなくなっていたので、補給はMaurtenのジェルとエイドのコーラ、水など液体中心に切り替えました。ランだけでMaurtenを7本。バイクで補給が後手に回っていたぶん、ここで取り返したいところでしたが、胃の状態を考えると無理はできません。それでも、エイドごとに何か口に入れることだけは止めませんでした。

このランで意識したのは、ただ一つ「止まらないこと」でした。速く走ることより、エイドごとに何かを口に入れ、歩いてでも前に進み続ける。結果として、大きく崩れることなくフィニッシュラインまでたどり着けました。総合16時間09分、フィニッシャーです。

今振り返って、変えるべきだった3点

完走はできました。ただ、補給という観点では明確に改善点があります。同じ失敗を繰り返さないために、3つに整理します。

1. バイクの補給をタイマーで機械化する。「気づいたときに取る」をやめて、一定間隔で機械的に補給する。これだけで後半の失速はかなり防げたはずです。これはハンガーノック対策の基本でもあります(ハンガーノックの治し方)。

2. スイムの消耗を見越して、バイク前半から補給を厚くする。「補給できないスイム」でエネルギーが削られている前提に立ち、バイク序盤から計画的に取り戻す設計にすべきでした。

3. シューズなど装備は本番で新しいものを使わない。脚の攣りの引き金になったシューズは、補給とは別の問題ですが、「本番で新しいものを試さない」という原則を破った典型例でした。

レースの補給は、計画した通りにはいきません。だからこそ、崩れたときにどう立て直すかまで含めて設計しておく必要があります。補給計画の立て方そのものは補給タイミング完全ガイド体重と気温から算出する方法に、よくある失敗は補給の失敗5選にまとめています。

🛒 このレースで実際に使った補給アイテム

正直に、この日に口にしたものだけを挙げます。相性には個人差があるので、必ず練習で試してから本番に使ってください。

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