富士ヒルクライム2026 結果報告|1時間56分・サブ2と、ペース配分の反省

Race Day

第22回 Mt.富士ヒルクライム、記録は1時間56分13秒だった。サブ2は守れた。ただ正直に書くと、「守れた」というより「守りに入った結果そうなった」という方が近い。前半で飛ばしすぎて、4合目の手前で脚が攣りかけ、そこから先はペースを諦めて回復を待つだけの登りになった。

このシリーズの締めくくりとして、会心ではなかった一本を、データと体感の両方から正直に振り返っておく。

結果:1時間56分13秒、サブ2は達成

男子40〜44歳のクラスで、公式記録は1時間56分13秒。Garmin(Edge 530)の移動時間は1時間55分44秒だったので、計測のずれを差し引いてもおおむね同じ。目標にしていたサブ2は、数字の上では達成できた。

ただ、後で触れるとおり、これは「ちょうどよく走った2時間」ではなく「前半の借金を後半で返しながら、なんとか2時間を切った」結果だ。達成感はある。でも、伸びしろをそのまま残したレースでもあった。

当日のコンディション:濃霧と寒さ

当日は曇り。標高が上がるほど霧が濃くなり、いちばん深いところでは視界が50mほどしかなかった。前を走る人のリアライトがぼんやり見える程度で、コースの先がほとんど読めない。

気温も登るにつれて下がっていった。Garminの平均気温は11.3℃、最低は8.0℃。スタート地点では汗ばむのに、五合目(標高2,273m)に近づくと指先が冷える。視界が効かないぶん、ペースの感覚も狂いやすい状況だった。

レースデータ(Garmin Edge 530)

項目 記録
公式記録 1:56:13
Garmin移動時間 1:55:44
距離 23.87 km
獲得標高 1,220 m(最高2,273m)
平均パワー 185 W
NP(正規化パワー) 194 W
20分最大平均パワー 232 W
平均心拍 / 最大 161 bpm / 181 bpm
平均ケイデンス 71 rpm
平均気温 11.3 ℃(最低8.0℃)
運動量 1,281 kJ

データが語る誤算:前半のオーバーペース

失速の原因は、パワーと心拍のログにはっきり残っていた。

まず、平均パワー185Wに対してNP(正規化パワー)が194W。この9Wの差は、出力が一定でなく、強弱の波があったことを意味する。きれいに一定ペースで登れていれば、両者はもっと近づく。20分間の最大平均が232W——これは体重83kgで約2.8W/kg、ほぼ自分のFTP相当の出力だ。2時間近く登り続けるレースで、序盤にこの強度を踏んでしまっていた。

心拍も同じことを言っている。平均161bpm、最大181bpm。平均が最大の約9割という高さで、これは2時間の有酸素運動としては明らかに高い。序盤から心拍が張り付き、後半にかけてじわじわ垂れていく典型的なカーブだった。Garminのパフォーマンスコンディションも、序盤は+2〜+3とプラス圏だったのが、後半は−2まで落ちている。「持続できる強度を超えて入った」サインそのものだ。トレーニング効果は有酸素5.0で「オーバーリーチ」と判定された。

IFが0.97に見えるのは、設定が古いから

細かい話だが、Garmin上のインテンシティファクター(IF)は0.972と表示されている。額面どおりなら「FTPの97%で2時間踏み続けた」ことになり、それはほぼ不可能だ。種を明かすと、デバイスのFTP設定が200Wのまま更新されていなかったのが原因。第3回の練習ログのとおり、実際のFTPはこの時点で約229Wまで上がっている。実FTPで計算し直すとIFは0.85前後で、これなら2時間の登りとして妥当な数字だ。

つまり、この「見かけのIF 0.97」というズレ自体が、前半に踏みすぎていた事実を裏づけている。最初の3分の1を、2時間のレースではなく40分のレースのように走ってしまっていた。

4合目で脚が止まった

つけが回ってきたのは4合目と5合目のあいだだった。両脚がピクピクと痙攣の前兆を出し始めた。完全に攣る一歩手前の、あの嫌な感覚だ。

ここで目標ペースは諦めた。これ以上踏めば確実に攣って、その場で止まる。逆に緩めれば脚は戻る——この判断は、226kmのフルディスタンスを走ったときに体で覚えたものだ。無理に押し込まず、ペースを落として回復を待つ。残りの区間は、攻めるためではなく、脚を取り戻すための登りに切り替えた。

結果として、脚は完全には終わらずにゴールまでもった。サブ2を切れたのは、この緩める判断が間に合ったからだ。ただ裏を返せば、前半で攣りかけなければ、この「我慢の後半」はもっと攻められたはずだった。

金剛山トレーニングは無駄だったのか

では、6週間積んだ金剛山での練習は意味がなかったのか。結論から言うと、半分は活き、半分は活かしきれなかった。

金剛山(10.3km・獲得544m・平均5.3%)は、富士ヒルとほぼ同じ勾配だ。ここを登り込んだことで、FTPは200Wから229Wまで上がった。フィットネスは確実に積み上がっていた。脚はできていた。

活かしきれなかったのは、肝心の「ペース配分」のほうだ。金剛山を2本連続で登る練習で、抑えて入る感覚は何度も確かめていた。それなのに本番では、スタートの高揚と周りのスピードに引っ張られて、練習で決めていた入りを守れなかった。

問題は脚(フィットネス)ではなく、頭(実行と規律)だった。トレーニングが無駄だったのではない。無駄にしたのは、本番の最初の30分のほうだ。

来年への宿題:抑えて入る、それだけ

課題は明確で、しかも地味だ。最初の30分を、物足りないくらい抑えて入る。具体的には、序盤を実FTPの85%前後で蓋をして、後半に余力を残す。フィットネスはもう一段上げるとして、それ以上に「決めたペースを守る規律」のほうが伸びしろだ。

毎回どこかで同じことを学んでいるのに、レース本番でだけ忘れる。この繰り返しが、結局この趣味の正体なのかもしれない。来年は、練習で決めた数字を本番でも淡々と守れるかどうか。それだけが宿題だ。

まとめ

富士ヒルクライム2026、記録は1時間56分13秒。サブ2は達成したが、会心ではない。データも体感も、そろって「もっといけた」と言っている。原因は前半のオーバーペース、対策は抑えて入ること。シンプルだが、それを本番で実行できるかが来年の全てだ。

このシリーズで使った装備や、当日の持ち物・タイムスケジュールは、チェックリストとしてまとめてある。来年エントリーする人は、同じペース配分の失敗を踏まないように、準備の段階から使ってもらえればと思う。

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