📋 この記事で分かること
🎯 結論:初参加の現実的な目標はサブ2(2時間切り)かブロンズ(90分)。決め手は脚力より、FTPを正しく測ること、最初の30分を抑えること、寒さと霧の準備の3つ
👤 対象者:富士ヒルに初めてエントリーした人、登りが得意でないサイクリスト、トライアスロンからヒルクライムに来た人
⏱ 読了時間:約12分
🗓 使い方:エントリー直後に読んで目標を決め、本番8週間前からの準備に使う
ヒルクライムが苦手なのに、2026年6月の富士ヒルクライムに初参加しました。226kmのロングトライアスロンを16時間で完走した持久系の人間ですが、登りは正直得意ではありません。結果は1時間56分13秒。目標にしたサブ2は守れましたが、その手前で目標設定を一度大きく間違えています。
最初に立てた目標は70分台でした。根拠はアプリの推定FTP。実走で測り直したら40W低く、70分台は物理的に無理だと分かって、本番5週間前に目標を立て直しました。この記事は、その準備と結果をもとに、初参加の人が「何を目標にして、何を準備すればいいか」をまとめたものです。
初参加の目標設定:サブ2かブロンズか
富士ヒルのコースは、計測区間で約24km、獲得標高約1,250m、平均勾配5%強。急坂はほとんどなく、緩い登りが延々と続きます。制限時間に余裕があるので、完走そのものより「何分で登るか」が目標になります。基準はフィニッシャーリングです。
| リング | タイム | 必要なFTPの目安(実感値) |
|---|---|---|
| プラチナ | 60分以内 | — |
| ゴールド | 65分以内 | 4.0W/kg以上 |
| シルバー | 75分以内 | 3.5W/kg前後から |
| ブロンズ | 90分以内 | 3.0W/kg以上(80kg級は3.1〜3.3) |
| (サブ2) | 120分以内 | 2.4〜2.8W/kg |
W/kgとタイムの対応表はいろいろ出回っていますが、体重の軽い人ほど当てはまりやすく、80kg級はもう少し上を求められます。上の表は、FTP 2.44W/kg(200W・82kg)で準備を始めて、本番直前2.79W/kgで1時間56分だった自分の実感値です。
初参加で、FTPが2.5W/kg前後なら、目標はサブ2。3.0W/kgに届いているならブロンズ。この2つのどちらかに決めてしまうのが現実的です。目標を決める前に、1つだけ守ってほしいことがあります。FTPはアプリの推定値ではなく、実走の20分テストで測る。推定値で目標を立てると、自分と同じ失敗をします。
登りが苦手でも走れる理由
ロード専門のクライマーのような高いW/kgは、自分にはありません。それでも富士ヒルが走れるのは、このレースが「登れる脚」だけで決まらないからです。2時間近い持久走なので、ペース配分と補給と準備の精度で差が出ます。ロングトライアスロンで身についた「序盤で我慢する」「20分ごとに食べる」「攣りそうになったら緩める」は、そのまま富士ヒルで使えました。
裏を返すと、脚があってもペースを間違えると落ちます。自分はまさにそれをやりました。
機材:Madone SL6 Gen7(8.5kg)で足りるか
使用バイクはTrek Madone SL6 Gen7。エアロロードで実測8.5kg、ヒルクライム向きの軽量バイクではありません。それでサブ2は走れました。
機材で迷うなら、順番はポジションと転がり抵抗(タイヤ・空気圧)が先です。500gの軽量化が富士ヒルで稼ぐのは1分前後で、ペース配分を1つ間違えた損失のほうがはるかに大きい。初参加で新しいバイクやホイールを買う必要はありません。
8週間の組み方(スイム・ランを止めない場合)
トライアスロンと両立するなら、スイム・ランを止めずにバイクの登坂だけを伸ばす配分にします。疲労が高い週は、バイクの高強度を1本減らして継続を優先します。
| 曜日 | 内容 | 狙い |
|---|---|---|
| 月 | 完全休養 or 30分回復走 | 疲労抜き |
| 火 | バイクSST〜閾値 60〜75分 | 登坂持続力 |
| 水 | スイム技術 + 軽いラン | フォーム維持 |
| 木 | VO2maxインターバル 45〜60分 | 上限引き上げ |
| 金 | ランEペース 40〜60分 | 有酸素維持 |
| 土 | 登坂を含むロングライド 2〜4時間 | 実戦適応 |
| 日 | ブリック(バイク短め + ラン20分) | 切替耐性 |
バイクに集中できる人は、本番6週間前からの週ごとのメニューを別記事にまとめています。Zwiftと実走の組み合わせで、計画の6〜7割しかこなせなくてもFTPが200Wから229Wに伸びた、そのままの記録です。
→ 富士ヒル トレーニングメニュー|FTP200Wから5週間で+29W、本番1時間56分の実データ
ペース配分:最初の30分で決まる
本番のログで一番はっきり残っていたのが、序盤の突っ込みでした。20分の最大平均パワーがほぼFTPそのもの。2時間近く登るレースの最初の20分で、です。4合目と5合目の間で両脚が攣りかけて、そこからは攻める登りではなく、脚を取り戻すための登りになりました。
それを踏まえた、初参加向けのペース配分です。FTPの%で書いているので、自分のFTPに当てはめてください。
| 区間 | 目標(%FTP) | 感覚 |
|---|---|---|
| スタート〜5km | 85% | 「物足りない」くらいが正解。周りのペースに乗らない |
| 5〜15km | 90〜95% | 会話はできないが、呼吸は乱れない |
| 15〜20km | 90% | 標高で出力が落ちるのは想定内 |
| 20km〜ゴール | 余力があれば100% | ここで初めて踏む |
補給は20分ごとにジェルか羊羹を1本、合計3本。水はボトル1本で足ります。「前半抑えて後半上げる」は頭で分かっていても、スタートの高揚と周りの速さで崩れます。崩れないように、パワーメーターの数字を見て淡々と守るのが初参加のやり方です。
装備・持ち物(当日編)
- バイク本体・ヘルメット・グローブ・シューズ
- 補給食(ジェルか羊羹を3本、ドリンク)と摂取タイミングのメモ
- アームウォーマー、ジレ、薄手のグローブ。スタート地点は暖かくても、5合目は気温1桁になる
- 下山用の防寒着(荷物預けで5合目へ送る)。汗で濡れたまま下ると体が冷えきる
- 予備チューブ、CO2、携帯工具
- 前日用:受付書類、宿泊・移動導線の確認
2026年の当日は曇りで、標高が上がるほど霧が濃くなり、視界が50mほどのところもありました。平均気温11.3℃、最低8.0℃。スタート地点で汗ばんでいても、5合目に近づくと指先が冷えます。持ち物と当日の1日の流れは別記事にまとめています。
→ 富士ヒルクライム 当日の持ち物と1日の流れ — 初参加者向けチェックリスト
印刷して使える無料PDF「富士ヒル完走チェックリスト&ペース配分シート」も用意しました。こちらからダウンロードできます。
当日までのロードマップ
- エントリー直後(2〜3月):実走20分テストでFTPを測り、サブ2かブロンズか目標を決める
- 8週間前〜3週間前:負荷を積み上げる。週1回は20分前後の連続した登りを入れる
- 2週間前:本番と同じ機材・ウェア・補給でレースシミュレーション。入りのパワーを体に入れる
- 本番週:量は半分、強度は落とさない。前日は30分のオープナーを省略しない
- 当日:最初の5kmは85%。数字を見て守る
次の一歩:226kmなどフルディスタンス側にも興味が出てきたら、完走テンプレProをどうぞ。
🎯 この記事をもとに準備を進めたい方へ
記事の内容を実行チェックリストにまとめた「富士ヒル完走サポートパック」を無料配布しています。今日から使えます。
ヒルクライムの次に何をする?
富士ヒルで持久力づくりと機材準備を経験すると、次の選択肢は意外と近いです。すでにバイクがある時点で、トライアスロンの最大のハードルはかなり越えています。興味が出たら、まずはバイク不要のアクアスロンで実戦デビューして、OD、ロングと段階的に進むルートも現実的です。
自分は「トライアスリート → ヒルクライム挑戦」の流れでしたが、逆ルートでも確実に力はつながると感じています。
次のステップ
- 富士ヒル トレーニングメニュー|FTP200Wから5週間で+29W、本番1時間56分の実データ — 本番6週間前からの週ごとのメニューと、計画どおりにいかなかった部分まで含めた記録
- 富士ヒルクライム2026 結果報告|1時間56分・サブ2と、ペース配分の反省 — 本番のフルデータと、最初の30分で何が起きたか
- 富士ヒルクライム 当日の持ち物と1日の流れ — 初参加者向けのチェックリスト


コメント