シクロクロスのスタートは、ロードレースと違って「後から追い上げる」が効きにくい競技です。コースが狭く、1列になるシングルトラックや担ぎ区間では前の人を抜けない。最初の直線で集団のどこにいるかが、そのまま最初の1周の順位になります。
私は初戦の桂川で、ここを完全に間違えました。スタートで全開のまま最初の直線を終えて、そのあと心拍が177から下がらず、最大は192。前には出られたのに、1周目の後半で踏めなくなり、結局抜かれていきました。
この記事では、並び順の決まり方、スタート前の準備、最初の1分で「やること」と「やらないこと」を整理します。
並び順はどう決まるか
日本のシクロクロス(JCX、AJOCC系列のレース)では、スタートの並び順はおおむね次の優先順位で決まります。
- シリーズのランキングポイント(持っている人が前)
- 前走レースの成績(同じシリーズ内)
- エントリー順、または招集時の到着順
初戦の人はポイントがないので、必ず後方からのスタートになります。これは変えられません。変えられるのは「後方の中でどこに並ぶか」と「スタート後の最初の直線で何列目まで上がれるか」の2つです。
スタート前:ギア、クリート、呼吸
ギアは「立ち漕ぎで3〜4回転回せる重さ」
軽すぎると空転して進まず、重すぎると最初の一踏みで横の人に置いていかれる。目安は、立ち漕ぎで3〜4回転しっかり踏めて、座って回し始めたときに回転数が上がりすぎない重さ。1xなら中間から2枚重いくらい。試走の最後に、スタート地点で一度試しておく。
クリートは片足だけ入れておく
スタートはどちらかの足をペダルに入れて待ち、もう片方は地面。合図で地面の足を踏み出し、最初の1〜2回転で反対の足をペダルに乗せる。このとき、クリートを入れようとして下を見ない。踏み面に足を置くだけで回し、3〜4回転目に入れる。乗車の取説と同じ考え方です。
利き足はどちらでもいいが、「入れている足を上死点より少し手前(時計の1〜2時)に置く」。これが一番力が入る位置です。
呼吸は、合図の前に一度吐き切る
緊張すると息を止めがちで、スタートの瞬間に息が詰まります。「30秒前」の合図で深く吸って、ゆっくり吐き切る。合図が鳴るときは、吐き終わった状態から吸い始めるタイミングにすると、最初の踏み込みで息が止まらない。
最初の1分:やること・やらないこと
0〜15秒:全開で位置を取る
ここだけは全開でいい。立ち漕ぎで3〜4回転、2〜3列上がったら座る。目標は「全員抜く」ではなく「最初のコーナーに入る列を上げる」。下は見ない。前の人のお尻と、その先の隙間だけ見る。
15〜45秒:心拍の上限を決める
ここで一度、心拍を見る。閾値心拍から5ほど下を上限にして、それより上げない。私の場合は閾値175なので170前後。最初のコーナーは、前の人のラインにそのまま入る。ここで抜こうとすると、接触するか外に膨らむかで、結局遅くなる。
45秒〜:自分のペースに落とす
前が詰まっても踏み足さない。差を詰めるのは、乗降とコーナーの技術です。取説で書いた通り、止まる時間を減らすだけで、同じ心拍で前に追いつきます。抜くなら2周目以降、相手が垂れたところで。
やってしまいがちな失敗
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 最初の直線を全開で走り切る | 心拍が天井に張り付いて1周目後半で踏めなくなる | 全開は15秒。座ったら心拍の上限を守る |
| クリートを入れようとして下を見る | その間に左右から抜かれる、蛇行する | 踏み面に乗せて回す。入れるのは3〜4回転目 |
| 最初のコーナーで抜こうとする | 接触、外に膨らむ、止まる | 前の人のラインに入る。抜くのはコーナーの後の直線 |
| ギアが重すぎる | 最初の一踏みで置いていかれる | 試走の最後にスタート地点で試す |
| 集団の真ん中に並ぶ | 左右から挟まれて動けない | 最初のコーナーの曲がる側の端に並ぶ |
スタート練習(10分で足りる)
- 片足クリート・片足地面から、立ち漕ぎ3回転→座る→3回転目でクリートを入れる×5本。下を見ないこと
- 15秒全開→心拍を見て上限まで落とす×3本(間は3分流す)。「落とす」感覚を体で覚える
- コーンを置いて、全開の直後に前の人のラインに入るイメージで曲がる×3本
この練習は、取説の40分メニューの最初に足しても、Zwiftのアップの終わりに15秒×3本を入れる形でもできます。
シクロクロス取説シリーズ
おわりに
桂川では、スタートで前に出られたことが逆に失敗のもとでした。出られたから踏み続けてしまい、心拍が戻らなくなった。全開は15秒、そのあとは上限を決めて守る。これだけで、同じ脚で1周目の後半に余裕が残ります。
美山向山で、実際にこの配分で走ってどうだったかを追記します。


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